経済産業省の子供の安全への取り組み(その2)
セコムの舟生です。
前回から引き続き、経済産業省 製造産業局 デザイン・人間生活システム政策室室長補佐 諸永裕一さんに、経済産業省と子供の安全について伺った内容をレポートします。
前回は、子供の事故はなぜ起こるのか? というテーマで話していただきました。後編の今回は、子供に安全なデザインを実現するためにどのような取り組みを行ってきたのかを、話していただきました。
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諸永さん:経済産業省では、事故サーベランスプロジェクトチームに参加して、子供が事故によって、命を落とすことを予防する取り組みを行いました。2006年3月には、「事故サーベランスプロジェクト報告書」を作成しました。また、2006年4月には「五感で納得できる暮らしを目指して ─人間生活技術戦略─」を発表しました。たとえば、子育て中の事故のなかで、物に指を挟んでしまう事故は、とても多く発生しています。これだけ指を挟む事故が多いなか、指はもとより子供の寸法のデータは、30年以上も昔の調査に遡らないとなく、その間の子供の体格の変化などを考えると現状には馴染まないものとなっておりました。舟生:なるほど。それは興味深いお話しですね。
諸永さん:そこで、昨年度日本機械工業連合会さんと安全で快適な生活の実現に向けた製品の開発・設計を促進するため、身長、肩幅、指の寸法などの身体計測を実施しました。今年度も子供にとって安全な、ものづくりに役立てるための、調査研究を継続して行っています。
さらに2006年5月15日には、子供を安心して育てられる生活環境を整備するために、子どもの安全安心の向上と健やかな成長を目指して取り組まれている企業の方々を集めてキッズデザイン協議会を設立しました。そして、こうした取り組みを通じて子供に関する事故情報の収集・分析を行い、それらのデータを企業や関係団体、保護者と共有し、事故防止のために役立てていただこうと考えました。
舟生:私も理事のひとりとして、この意義あるプロジェクトに参加させていただいています。
諸永さん:いろいろとご意見よろしくお願いします。ちなみに、キッズデザイン協議会では、子供の安全の向上と健やかな成長発達を考えた、製品や取り組みなどに対して「キッズデザイン賞」を設け、受賞製品に「KDマーク」を付与することにしました。親御さんが商品を選択する際の参考にしていただくことを目的としているのはもちろん、子供の安全についてよく考えられた製品を誉めて表彰することで、キッズデザインに取り組む企業の製品開発を推進し、子供の安全を向上させることを目的としています。
舟生:優れたキッズデザインがでてくることで、産業界全体にそうした考え方が浸透していくとよいですね。
諸永さん:私たちもそれを期待しています。子供の事故に関する情報や事故シミュレーションなどの体験型イベントも実施していき、子供の安全に関する情報発信を今後、さらに行っていきたいと考えています。
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2回にわたって、経済産業省 製造産業局 デザイン・人間生活システム政策室室長補佐・諸永さんに、経済産業省と子供の安全についてお話を伺いました。子供のことに関する政府機関といえば、厚生労働省や文部科学省を思い浮かべますが、以前、ご紹介した『学習塾に通う子どもの安全確保ガイドライン』をはじめ、経済産業省でも子供を持つ家庭と、関わり合いがあることがわかりました。
本日(8月24日)に、キッズデザイン協議会により、来年度以降の受賞製品に贈られる「キッズデザインマーク」の発表などが東京ビッグサイトで行われます。
その模様は、このブログでもお伝えしたいと思っています。どうぞお楽しみに!
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